■色素増感太陽電池の仕組み
   
 
●色素増感太陽電池の仕組み
 
色素増感太陽電池の仕組み
色素増感太陽電池組立てキットでは、次世代型の太陽電池である色素増感太陽電池の発電の仕組みを体験します。
太陽電池を組み立てる前に、色素増感太陽電池の仕組みを簡単に勉強してみましょう。
 
 
色素増感太陽電池とは?
光触媒としても知られている酸化チタンのナノ多孔膜を光電極として用いる太陽電池です。
酸化チタンのナノ粒子(20 nm;1 nmは、10億分の1メートル)を膜にした電極は、その表面積は1000倍以上!
つまり1cm2の面積で、1000cm2の表面積があります。
酸化チタンのナノ粒子でできた膜の表面には、可視光を吸収するための色素がびっしりと吸着しています。
酸化チタンは、もともと紫外線しか吸収できませんが、酸化チタンの表面に色素が吸着することで、可視光にも感度を持つようになります。 このことを、“色素増感”と呼びます。“色素増感”の原理は、カラー写真の原理によく似ています。
カラー写真と色素増感太陽電池とで異なることは、カラー写真では、一度光を吸収した色素は分解して壊れてしまうのに対して、色素増感太陽電池では、一つの色素が何回も何回も光を吸収することができることです。
酸化チタンや銀塩写真で使われる臭化銀の表面に吸着した色素が光を吸収すると、色素の電子が、酸化チタンや臭化銀に注入されます。このとき色素は、電子を失った状態、つまり酸化状態となります。
酸化状態の色素は大変不安定な状態なので、なんらかの方法で還元してあげなければ(電子を与えてあげなければ)分解してしまいます。
そこで、色素増感太陽電池では、酸化された色素に電子を渡す還元剤を電解液中に共存させることで、色素を再生し、再び光を吸収できる状態にもどします。
 
 
下図には、色素増感太陽電池の構造と発電の仕組みを示しました。
色素増感太陽電池の発電の模式図
 色素増感太陽電池の発電の模式図
 
 
光発電の仕組みは次の通りになります。
@ 酸化チタン多孔膜に吸着している色素が、光を吸収する。
A 色素から電子が酸化チタンナノ多孔膜に注入される。
B 酸化チタンナノ多孔膜に注入された電子は、透明電極、外部回路を通って、対極に達する。
C 対極の表面で、電子は、電解液中のヨウ素(I2)に渡され、ヨウ化物イオン(I)ができる。
D ヨウ化物イオン(I)は、光を吸収して酸化された色素に電子をわたし、色素は再生する。   
   と同時に、ヨウ化物イオンは、再びヨウ素(I2)となる。
このようなサイクルが繰り返されることで、光のエネルギーが電気エネルギーに変換されます。
色素増感太陽電池では、化学的な酸化還元反応が光エネルギー変換に関わりますが、この点が、従来型のシリコン太陽電池の発電の仕組みと大きく異なるところです。
実験キットPEC−TOM02に入っている材料と、上記の図を比べてみます。
1. 透明導電フィルム(ITO−PETフィルム)(マイナス極になります)
2. 酸化チタンペースト
3. 増感色素
4. 電解液
5. ステンレス板(ステンレス板の表面には、鉛筆が塗られています。)(プラス極になります)
太陽電池のプラス極となるステンレス板の電解液と触れる表面には、鉛筆を塗ります。
鉛筆で使われているカーボンは、光発電の仕組みのCにおいて、対極から電子を飛び出しやすくする触媒の役割があります。
したがって、たくさん塗るほど電子が飛び出しやすくなります。
透明導電フィルムは、最近ではタッチパネルなどにも使われている、透明で電気が流れる材料です。
実験キットには、ペットボトルでおなじみのPET樹脂に、ITO(アイティーオー)と呼ばれる材料がついています。
太陽電池用としては、タッチパネル用のものより10倍以上電気が流れやすい材料を使っています。
増感色素は、現在、キットに入っているものは、エオシンYと呼ばれる色素です。
酸化チタンフィルムへの吸着速度が速いことが特長です。
電解液中の酸化還元に関わる物質としては、ヨウ素/ヨウ化物が使われることが多いです。
実験キットの組立てでは、1.透明導電フィルムと、5.ステンレス板は、セロハンテープを挟んで直接触れないようにします。
透明電極とステンレス板は、電池のマイナス極とプラス極ですから、直接触れてしまうと、「短絡(ショート)」して電流が流れなくなります。
 
 
色素増感太陽電池 色素増感太陽電池
対極に用いるステンレス板を透明な電極に換えれば、光透過性の太陽電池を作ることもできます。
 
 
色素増感太陽電池のプラスチック化と用途展開
実用化に向けては、「用途」という観点も極めて重要です。
色素増感太陽電池は、電極そのものを印刷で作製することができ、増感色素を選んでカラフルな太陽電池を作製でき、
ナノ粒子の持つ光透過性を演出できることから用途に合わせた意匠性を持たせることができます。
さらに、DSCをプラスチックフィルム化することができれば、軽い・割れないという安全性の向上のみならず、
曲面も含めた様々な空間へ設置でき、用途の広がりが期待されます。
ウェアラブルパワーなど、ユビキタス社会におけるポータブルな電源としての活用が考えられています。
 
 
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